50人の食器棚

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リネンのテーブルクロス 齋藤田鶴子さんより

「おばあちゃんの食器棚」この作り手の人はこの人のことかな?と想像しながら楽しく読みませていただきました。なかでも私が印象に残ったのは、リネンのテーブルクロスのお話でした。よく洗いざらしたどっしりとしたリネンのクロスで食器を拭くときの充実感は...
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SOUP にしむらあきこさんより

くつくつくつくつ。野菜のスープを煮込みながら書いています。1週間前まで入院していたのですが、入院生活で読み返した三度目の「おばあちゃんの食器棚」。白磁のスープボウルの項に出てくるはるさんのスープが美味しそうで、「退院したら絶対作るぞ」と心に...
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「ブランケットの温もり」長野麻紀子さんより

いつのことだったろうか。公園の樹々のあいだを自転車で駆け抜けるとふわんとうっすら甘い砂糖菓子のようなどこか懐かしいような風がぽうぽうと吹いてきた。秋深まるころになると桂の樹から漂ってくるのだと、ずいぶんと鼻をクンクンさせて知った。頁をめくれ...
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「ウールのブランケット」片田学さんより

稲垣さんは言葉をくれる人。初めて会ったときから今まで、折々でいくつも心に留まる言葉と出会ってきました。それはきっと、仕事や様々な経験を通じて結実した、たしかなこと。おばあちゃんの食器棚という物語となり、一つ一つのなかで、すうーっとそんな言葉...
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「大きな食器棚」クロヌマタカトシさんより

その本の始まりの一文には、全てが込められている。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」「えたいの知れない不吉な塊が私の心を終始圧えつけていた。」川端康成も梶井基次郎も、この一文を生み出すだけでどれだけの時間を要しただろうか。想像もつ...
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「くるみの木の皮のお弁当」香田佳人さん(アトリエ倭)より

「くるみの木の皮のお弁当」のお話しが好きでした。以前「食べることは生きること」と、工房からの風で知り合った作家さんに教えていただいて、その食べることがぎゅっと詰まったお弁当のお話しだったからかもしれません。その章の中に「誰かが大切に想いを込...
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「ガラスのヒヤシンスポット」吉田慎司さんより

僕は「ガラスのヒヤシンスポット」を読んで、はるさんは「あぁ、これは僕も出会った最後の人だ」と思った。物をつくることはすごく大変だし、時間もかかるし、理解されないことや、無碍にされることだってたくさんある。けれど、長く仕事を続けているといつか...
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「白磁のスープボウル」西田真由美さんより

「白磁のスープボウル」節目となる年齢に差し掛かり、手元の景色は最近急にぼやけてくるし、なるほど先輩方から聞いていた身体に訪れる変化もいろいろ現れてくるし、何よりこれから先の時間に限りがあることを、とても現実味を伴って感じ考えるようになってい...
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「木のサラダボウル」水谷英与さんより

読むたびにどの話もいいなあ、(物語として)よくできているなあと思っていましたが、【木のサラダボウル】の中のこの箇所。「作品に三つの要素をいつも見ていた。素材、技術、デザイン。素材は大切な自然の恵み。人が培った手技。そして、今を生きる人が使い...
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「こぎん刺しのティーコゼ」ほか 青木東子さんより

無心の中、繰り返す行為というものは工芸の本質のひとつだと私は思っています。この本にはいくつもそのことが描かれていました。漆の塗師のただ塗る仕事を続けた先にある無心の瞬間。金属を繰り返し叩いて本物の深い呼吸を得る朝さん。そして糸を刺すことは極...
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「ガラスのヒヤシンスポット 」増田早紀さんより

器たちが語り出すあたたかで愛おしい物語。一番胸を締め付けられたのは、やっぱり「ガラスのヒヤシンスポット」のお話しでした。緑さんの工房を訪れたはるさんが目にした光景。通常 吹きガラス工房というのは、24時間窯の火を絶やさず ごうごうと燃え盛る...
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「こぎん刺しのティーコゼ」藤原真子さんより

WEBでの連載の際に拝読していた物語を、この度書籍の形でもう一度読ませていただきました。そうすると、以前とはまた違った章に心が留まって、今の自分に寄り添ってくれるお話を見つけました。「こぎん刺しのティーコゼ」です。現在3歳のやんちゃ盛りの息...