稲垣尚友 トカラ列島 平島語大辞典 抄 【あじろ】(網代)カツオ節を作るときの道具。木製の箱で、深さが十センチ前後、縦が一メートル弱、横幅が五十~六十センチある。底に竹が張ってある。幅二~三センチに割いた竹が、やはり、二~三センチ間隔で縦長に釘付けしてある。梁から吊したアジロの中... 2022.07.12 稲垣尚友
富井貴志 We Are Atoms その後 – 2022年7月 昨年4月に「自由学園明日館 婦人之友社展示室」での個展の直前に、We Are Atoms と名付けた彫刻刀で彫模様を施した仕事について、こちらで書かせていただきました。当時のほとんどの仕事は私が研究室にいた頃に経験したような、単一の物質で構... 2022.07.11 富井貴志
長野麻紀子 灼熱 楕円の窓を覗きこむと、眼下にはソーダ寒のようなブルーの海がどこまでもひろがっている。真昼の太陽が煌めいて、水面に映る機体の影はちいさな魚になり、すいすい気持ちよさげにどこかへと泳いでいく。カンクーン発ハバナ行きの飛行機は、ディズニーランドの... 2022.07.10 長野麻紀子
富井貴志 新しい時計 また来た。じわーっと身体の芯から暖かくなるような感覚。これまでものづくりをしていて一度も感じたことはなかったのに。————-昨年の11月終わり頃から制作中にだけ頻繁に訪れる表現しづらい幸福感。数ものでも一点ものでも関係なく、毎日一度はやって... 2022.05.04 富井貴志
にしむらあきこ うたうたい おちばがいっぱいわさわさわあさふんであるくよがさがさがあさがっこういきましょごきげんさん(おちばのうた)通学路にどっさりと降る落ち葉の海を、息子と楽しんでいるときに作った歌である。とにかくご機嫌良く、さっさと学校にいってほしい、というきもち... 2021.12.09 にしむらあきこ寄稿帖
にしむらあきこ ことのはの海 あの時傷つけた友達の顔や、恋人と過ごした時間の匂いや、学校帰りに歩きながら食べたコロッケの味や、女友達のきれいな足の形や、片想いした彼の深いため息や、上司の緊張する声の震えや、ひそひそと内緒話する同級生の吐息の熱さと耳元のくすぐったさや。心... 2021.08.25 にしむらあきこ寄稿帖
長野麻紀子 夏をつける 梅雨明け快晴。家の南に面した掃き出し窓、いちめんを覆いつくすように伸びた蔓性植物のカーテンがときおりの風にはためいて、白い部屋のなかまでも、淡い黄緑いろにぼんやりと染める。東京はあいかわらずの緊急事態宣言下で、出掛けてはいけないわけではない... 2021.07.22 長野麻紀子
富井貴志 We Are Atoms まずは Eames Office がYouTubeで公開している『Powers of Ten』をご覧ください。有名な映画なのでご覧になられたことがある方も多いかと思います。これは1977年に発表されたカラー版で、原型は1968年にモノクロの... 2021.04.10 富井貴志
にしむらあきこ 鮮やかな世界を コップから水を飲むコップの底にそっと耳にあてるとんとん、と指ではじく視線が宙をさまようそれから耳を離して私を見てにっこりとわらいあー、という薄暗いアトリエのドアを開けると、水のにおいがする。ガタガタとがたつく古い雨戸を開けて、空気と光をいれ... 2021.04.07 にしむらあきこ寄稿帖