Q1
奈良県で「食にまつわる木の道具」を制作する水村真由子さん。
今展には、どのような作品を出品くださいますか?
A1
食にまつわる時間の中で、手に持って使う道具をお持ちします。
食事の時に使う匙やフォーク、料理の途中で手に取るへらやしゃくし、食卓まわりの小さな道具たち。
一本ずつ削りながら、「ここは前と同じでいいかな」「ここは変えようかな」と手を動かしてきました。
使う人の暮らしの中で、より使いやすく、よりなじむ。
お台所や食卓で使うたび、じんわりその道具の理由が伝わるように。
そうして今のかたちになった道具を並べます。
はじめましての方も、すでに見たことのある方にも、手に取っていただけたらうれしいです。
今展では、試作を重ね、ようやくできあがった新作の道具がふたつ仲間入りします。
●スコップ匙
つくり手仲間のひと言をきっかけに生まれた、細長い匙です。
長い瓶の中身を取り出せる道具があったら――そんな実感のこもった声から、かたちにしました。
全長約28センチ。
瓶の底からソースや粉末をすくいやすく、側面に残ったものもへらのようにスカッとかき出せるよう、
角度や厚みを細やかに確かめながら削り上げています。
少しめずらしい道具ですが、使う場面をよく知る人の言葉を手がかりに、
日々の動きの中で、手が迷わないかたちになるよう整えました。
●サーバースプーン
ヨーロッパの古いスプーンに刺激をうけ、自分なりの解釈でかたちにしました。
匙頭から柄先まで、ゆるやかなS字のカーブを取り入れ、ぱっと見は洋風ですが、
クリの木をアンモニアスモーク(揮発したアンモニアと木に含まれる成分の反応によって着色する方法)で染め上げることで、
和のようでもあり洋のようでもある、少しアンティークな佇まいに仕立てています。
さっと手に取って食べものをすくい、よそうまでの一連の所作が、静かに、なめらかにつながっていく。
うつわに盛られた美味しいものとのつながりも大切に。
そんな場面を思い浮かべながら作ったスプーンです。
Q2
ヒナタノオトの伊勢丹での催事10回展にちなんだ作品はございますか?
A2
めいめい匙「花鹿」
本展に寄せて「花鹿」を題に、絵柄の異なる二点のめいめい匙をこしらえました。
花鹿は正倉院の宝物にも描かれる霊獣の姿で、いにしえより吉祥のしるしとして親しまれています。
柄には、奈良で鹿の保護に携わる団体から分けていただいた鹿の角を使いました。
山桜と鹿の角を削り出して組み上げ、漆を塗り重ねて仕上げています。
匙面には、角が花になった鹿の姿を色漆と螺鈿で描いています。
パズルのように配した螺鈿は十粒。
本展が十回目を迎えた節目に、ささやかな気持ちを重ねました。
めいめい匙は、定番のれんげ制作で生まれる端材から、即興的に削り出した一点ものの小さな匙です。
ここでさまざまな手法を試し、定番の道具づくりへと還元してきました。
これまで百点以上を制作しています。
手元に置いてくださる方のもとへ、多幸が訪れますように。
そんな願いを込めて。
いつもながら、一つ一つを丁寧に作り、丁寧に説明してくださる水村真由子さん。
会場では関西ならでは?の惹きつける話術!でどの木の道具についても、そのお客様に最適なお話をしてくださいます。
作り手から直接作品についてお話が聞ける醍醐味が、まさにここに。
水村真由子さんは7日(土)から10日(火)まで全日在店予定です。
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