Anima uni
長野麻紀子さんの個展が4月19日からヒナタノオトで始まります。
地表にて
今回のタイトルです。
長野麻紀子さんという作家を想うとき、工藝作家というよりも、心底アーティストなんだと感じています。
ロンドン大学留学時代に真剣に取り組んでこられた写真。
それは、所謂「うまい」という域ではなくて、圧倒的な世界観を有する写真です。
今は、インスタグラムなどにさりげなくアップされていますが、
眩しい光につつまれた神秘の世界の中で繰り広げられているショットは、
どこかにあって容易くは見ることができない、長野麻紀子というアーティストの目を介した美しさです。
また、文章もすばらしく、ヒナタノオトではたくさんのご寄稿もいただいてきました。
新しいこのHPにも移してありますので、あらためてぜひお読みになってみてください。
灼熱 → click
夏をつける → click
ふしぎないきもの → click
Measurement Tool → click
エルダーフラワーコーディアル → click
星空ドロップ → click
丹精される庭での植物との営みでは、生物学を専攻されていた科学の目と、
生きとし生けるものを愛する情感豊かな心配りが響きあい、
長野麻紀子というひとりの人間の小宇宙を生み出しています。
手料理も、さりげないスケッチ画も見事な腕前で、
日々の営みのどの場面でもアーティストの感性でものごとが生み出されていくようです。
『工藝作家というよりも、心底アーティストなんだと感じています。』
冒頭、私はそう綴りましたが、彫金、ジュエリー作家のAnima uniの仕事を見れば、まさに工藝作家になられました。
ICU、ロンドン大学と勉学に励まれてからの彫金の学びは、工藝作家としては遅いスタートだったと思います。
しかし、出会った2012年に制作されていた技術レベルからこつこつと進化を遂げられて、
今は工藝作家として高度な表現を自らの手でかたちづくれる作家になられたことに、敬意を抱きます。
アーティストの心が逸る作家は、習得に時間がかかる技術を磨くことに根気が続かないことも多いように思います。
そのような中にあって、自らが抱いた豊かなイメージを自らの手でかたちにするという
作家としては最大の力を培ってこられた長野麻紀子さんです。
昨年9月、共にデンマークへ渡り、作品展を行い、地元アーティストの工房を幾つも訪ねました。
世界の辺境の地へもひとりで訪ね歩いて来られた長野さんにとって、
コロナ禍で渡航が叶わなかった年月は、さぞ辛かったことと思います。
その分、先秋、デンマーク、その後の幾つかの北欧諸国を歩いて来られた経験は、
長野さんらしい呼吸を取り戻していく大切な時間であったように思います。
今展、「地表にて」では、その旅の時間から続く今の長野麻紀子さん、Anima uniの世界が瑞々しく表現されることと思います。
言葉通り、地表で拾い集めた石をもちいた具体的な作品群もそうですが、
アーティストという「なまもの」の長野麻紀子さんが、
Anima uniとして高度な技術を有した彫金作家としてさまざまなかたち、作品を見せてくださることと思います。
4月19日(土)-27日(日)
ヒナタノオト奥のスペース、galleri vindue でお待ちしています。