大谷哲也オンライン展

11月9日(土)正午から11月14日(木)の期間、
大谷哲也さんの作品をヒナタノオトオンラインストア「ソラノノオト」でご覧いただきます。
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つい先日まで上海に渡って、レストランイベントに参加されていた哲也さん。
高層ビルの最上階、ゲスト30名が一度に座れる大きな円卓で、
哲也さん制作の10種30客の器に創意工夫がなされた料理が盛られたそうです。

国内外で大活躍中の大谷哲也さん。
幸せなことに私は、陶芸作家として立つ前から出会いの機会をいただいていました。
2003年には、第二回めの「工房からの風」にも出展くださったり。
20年以上を経て、今の哲也さんの幸福な作家人生がどのように創られてきたのか。
それを考えることは、ほかの作家に方にとっても、私自身の人生にとっても有意義なことにように思います。

哲也さんのお仕事がうんと知られる契機のひとつにもなった「平鍋」。
直火、オーブン、レンジOkです。
スープ、パスタソース、ジャム、グラタン、冬の鍋、、、、驚くほどあらゆる料理に活躍するなべ。
オンラインストアにも豊かに(といっても、形状、サイズによっては1点のみも)ご案内しています。

近年人気が高まっているプランター。
こちらも、平鍋と同様、大谷家で愛用されていたものが作品として熟していったもの。
でも、すべてがそうとも言えますね。
どれもご自身が使ったり、飾ったりしたいものが作品であるということ。

スタイリッシュなフォルムとストイックな印象の色合い、肌合いの作品ですから、
クールな建築空間ではグッとくるくらいに映えます。
けれど、お子さん3人の5人家族、お弟子さんもいて、お客様も多い大谷家の豊かな生活感のある中でも素敵な空間を醸し出します。

電傘。
ランプシェードも静かに感度の高い空間を生み出します。
こちらもフォルム違いでオンラインストアに。

大谷家の食器棚の一部。
こちらは哲也さんの作品を中心のコーナー。
桃子さんコーナーや、他作家の作品が魅力的に並ぶコーナーも。
オンラインストアでは、食の器、花の器も多彩にご覧いただけます。

さて、冒頭に綴った
「今の哲也さんの幸福な作家人生がどのように創られてきたのか。」

一言で言いきれるものではありませんが、私が学んでいるいくつかを。

「考える。今を、未来を」
哲也さんは目標を具体的に描いて、そこに向かって耕し、種をまき、育てていくひと。
それが窮屈ではなくて、楽し気なところは、お人柄でしょうか。

哲也さんであっても、いきなり認められて、たくさん声がかかり作家になったわけではありませんが、
どんなときも、楽し気に果敢に挑戦していらしたように思います。

海外での最初の展覧会など、家族5人が手荷物最大に作品を運んでのある種の珍道中。
それが今は冒頭にご紹介したように、作家としてこれ以上手ごたえのないような展開に発展している。

「これからはレストランでの器作りにも取り組みたい」
そう聞いたのは、たしか2012年。
ひとつひとつのチャンスやご縁を丁寧につなげ、よい仕事を納めることで、今や国内外の一流シェフに信頼される陶芸作家になっています。

哲也さんに学ぶことは、目の前の一つ一つを丁寧に楽しみながら尽くすことと、
大きなうねり、人生や社会という時間軸や世界観を見据えて仕事をクリエイトしていくこと。
たとえば、人を育てることも。
スタッフという形での労働提供ではなく、陶芸作家として立つための弟子として人を迎え、育てたいということ。
時間で労働力を金銭に(しかも安価で)置き換えるのではなく、
現代的に労働条件も整えながらも、生き方を含めて自分たち夫婦から何かを感じ学んでほしいという想いは実り、
現在4人のお弟子さんが修行中。
お弟子さんのための宿舎や専用の工房まで建てて!(そうそうできることではありません・・)
若い作家同士が語り合える空間づくりまで行うという実行力には頭が下がりしました。

そして、陶芸、工藝が持続可能な仕事であるために、原料や道具を提供する仕事の方々への敬意と配慮も忘れません。
作品の価格に関しても、自身の努力で無駄を排することはもちろんですが、
素材提供職の人やお弟子さんたちがしいたげられて成り立つものではないことを考えて適正に設定していきたいと。
今、大谷さんの作品を求められる方は、持続可能な循環の中で設定された価格を納得された方たち。
その方たちが豊かにいらっしゃることが、これからの陶芸や工藝の光のようにも感じられます。

そして、何よりもご夫婦の信頼関係。
愛情豊かな家族とともにある人生。
夫婦を、家族を、そして自分を。
「信じる力」の質と量のすばらしさが、大谷哲也さんの作家人生の豊かさの源のように思います。
これは、作家の方々はもちろんですけれど、私自身もそうありたいと思うことなのです。

スタイリッシュでありながらも、温かみがあると評価を受ける大谷哲也さん。
平鍋も含め、すべてろくろを引いて作られています。
均一なようで、一瞬一瞬の自然なゆらぎがかたちとなって生まれてくる大谷哲也さんの器。
写真もスタイリッシュ!ですが、お手元に届いたときに、凪いだ湖面や仰ぐ雪山のような自然を感じていただけましたら幸いです。

オンラインストア
ソラノノオトをぜひご覧ください。
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