夏至の北欧

7月に入りましたね。
2024年も半分が過ぎたことに。
個人的には、いつにも増して早いスピードに感じています。

新しいHPのこのブログ形式。
もっと、頻繁に更新していこうと思っていたのですが、
6月には夏風邪で10日ほど寝たり起きたりの日々を過ごしておりました。
ガラス作家の三浦侑子さんのセッティング、初日にも寝込んでしまって。
(私がセッティング(搬入)と初日に出ないということは、まずないことなのです)

三浦さんにも大変申し訳ないことをいたしました。
今となっては、個展の少し前、岡山の工房をお訪ねできてよかった。

三浦さんの吹きガラスが、なぜ多くの人の心に響くのか、その秘密を知りたくて、はるばる飛行機で訪ねたのですが、
工房で伺ったお話し、そして、お仕事ぶりで、私なりに明らかに感じたことがありました。
後日、ライナーノーツを綴りたいと思いますので、少しお待ちください。
尚、三浦さんの作品は、店頭で引き続きご案内中。
そして、近日中にはオンラインストアでもご紹介予定です。

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ぎりぎり風邪が収まって、フライト!してきました。
恒例の?心の故郷のデンマーク。
とはいえ、コロナ禍だったために、夏のデンマークは5年ぶりなのです。

現地5泊の短い滞在でしたが、とても豊かな時間でしたので、こちらでシェアしたいと思います。

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フライトの日は、夏至の日。
夏至の北ヨーロッパは、それはそれは素敵な時間です。
飛行機からは、このような落日を。

今回、KLMオランダ航空を使って、成田 → スキポール → オールボーのフライトでした。
KLMに乗ったのは2002年以来。
22年の間に航空業界は経営が厳しくなっていったので、あまり期待してはいませんでした。
けれど、なかなかよかったです、KLM。
クルーのフレンドリーさ、ドリンクやミールのサービス、
乗る前にちょっとした質問があったのですが、Lineで即レスが返ってきて、問題解決の速さなど驚きでした。

そして、フライト直前の注意事項の説明映像の素敵さ!
デルフト焼の絵付けのアニメーションなんです。
そのセンスに脱帽でした。

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9月には、5年ぶりのデンマークでの展覧会ツアーがあります。
同行の作家さんをご案内するのに、KLMでのオランダ乗換もあらためて体験しておきたかったことに加え、
今回、お仕事的にひとつ重要なミッションがありました。
9月にデンマークで行う「日本の手工藝展」。
11組13名の作家の方の展示方法について、現地でご相談したかったのでした。

2018年、2019年の展覧会では、「ギャラリー」が会場だったのですが、
現在その空間は、イサガーの素敵ショップとなっています。
なので、今回は、体育館での展示。
体育館も素敵な空間ではあるのですが、もっと他の空間の方がよいのでは、、
と私が勝手に思う作家がいらして、実際に場所を見ながら決めてこよう!
そして、全体構成も掴んでこよう!というのが大きなミッションだったのです。

ここだ!とすぐに心が動いた空間。
体育館に隣接するこの場は、外からの小さな出入り口でもあるのですが、
施錠して展示空間にしていただけることになりました。
体育館の中の構成もピタッと決まり、什器の確認もできてひと安心。
9月の展示が具体的になってきました。
こちら、近づきましたら、あらためてご案内いたしますね。

Isager Skoleには、現在アルパカが9頭。
めんこいんです。
これから、羊もやってくるそうで、9月にはたくさんの動物にも会えそうです。
原毛から糸になるまでの工程をすべて見せてもらえる工房も新設されていたり、
Isager社Tversted Skole、益々たのしく発展中なのでした。

重要なミッションを終えて、次はひとり、初めての土地を訪ねることに。

デンマークも嬉しいことに、友人、知人が増えて、何度も訪ねる土地が増えてきて、
それはとても幸せなことなのですが、未知の土地を訪ねるのはやはり特別なワクワクがありますね。
今回、ユトランド半島のフレデリクスハウンという港町から1時間半ほどフェリーに乗って、
Læsø(レス島)という島に行ってみることにしました。

この島に行ってみたかったのは、海藻葺きの家があると知ったからでした。
茅葺きの家は田舎に行くと今も素敵に残っているのですが、海藻葺きはこの島特有なのですって。

宿泊施設に海藻葺きの建物はなかったのですが、ホテルも茅葺きで素敵なところを予約しておきました。

比較的年配のデンマーク人のご夫婦が数組泊まっていらして、東洋人の一人旅は私だけ。
それでも居心地のよい、ヒュッゲな滞在。
strandhotelという名は、日本ならさしずめ渚ホテルという感じでしょうか。
海までも歩いてすぐ。
そして、海と逆方向へ散策すると、心地よい森。
誰とも会わない、鳥の声がBGMのひとりきりの散策。
心の解放感は、旅の醍醐味ですね。

そして、島の無料バスに乗って、いよいよ念願の海藻葺きのおうち巡りへ。

ひとりバスを降りると、ただの田舎道。
とぼとぼと歩き出すと、目の前に。

なんというか、家というより生き物のような。
愛おしい存在感の家。

アマモという海藻で葺かれた屋根。
塩分を含んでいるので、火災にも強いのだとか。
一度気候変動でアマモが減少したり、葺く技術が途絶えそうになったりで減少した中、
研究者さんたちを中心に復興の機運が生まれて、今、はるばる日本からやってきた私も見ることができたのでした。

youtubeにも幾つかありますので、興味のある方は、ぜひご覧になって見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=mpLKHXuNWEY&t=1065s

この島で2泊3日、ゆっくり過ごして、オールボーへ。
そして、帰途につくフライトへ。

驚異、脅威の円安で、レストランやカフェでの料金にはほんとうに驚きの連続!
あんず茸のクロワッサンサンドと地ビールで¥3,500‐超!

オールボーでお気にいりのカフェ Cafe Penny Lane
ホィップクリーム入りのアイスコーヒーと、ルバーブのケーキ。
にぎわっているけれど、店員さんたちがほのぼの優しい。

駆け足記事ですが、今回一番思ったのは、ひとり旅の時間もやっぱりよいなと。
もちろん、家族や友人たちとの旅も素晴らしいものなのですが、
ひとり見知らぬ土地を歩いているときの心の解放感や、ある種の自分への自信のような気持ちは、かけがえのないもの。
そんなことを心に描けたのもこの旅の収穫となりました。

画像など、もう少しご覧になりたい方は、イナガキの個人のインスタの方もよろしければご覧ください。
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早、帰国して1週間。
目まぐるしくさまざまな方面の仕事が動き出していますけれど、
先取りさせていただいた夏休みを心の栄養に、2024年の夏を充実させていきたいと思うのでした。

また、現在進行形のお仕事のこと、展覧会作家の方のライナーノーツなど、折々この場で綴りたいと思います。