クロヌマタカトシ 土の顔 小さい頃に度々、知らないおじさんが家に来ていた。 そのおじさんはいつも声が大きくて僕は少し怖かった。 鍵の掛かっていない玄関の引き戸をがらがらっと勢いよく開けて 「おーい、まーちゃんいるかー」と家中に響く声で叫ぶのだ。 大抵は母が応接してい... 2024.05.09 クロヌマタカトシ寄稿帖
クロヌマタカトシ 温泉と水源 水が湧き出している場所が好きだ。 目には見えずとも土の中を脈々と流れ続け 僅かなきっかけで目の前に現れたそれに想いを馳せるのが好きだ。 いつに降った雨かも知れず、どこの山から来たのかも分からない。 渾々と、粛々と、どこにも威張る仕草もないま... 2023.01.02 クロヌマタカトシ