ヒナタノオト
作品展に寄せて

菅原博之
埼玉 木工
日々の暮らしの中にある洗練。
フォルムの美しい木の器が、食卓や生活空間を鮮やかに創りだします。

Q1
菅原博之さん、今展にはどのような作品を出品くださいますか?

A1
漆仕上げの器、お弁当箱、お重、箸、カトラリーなど、是非、春から使っていただきたいです。
また、漆の掛け花器なども出展致します。

Q2
庭にまつわるエピソードがありましたら、教えてください。

A2
新しい住まいの前は、広い農地で、竹や葛が雑草と絡み合って荒れ放題。
せっかくの眺めが台無しと思い、竹、葛の根をツルハシで掘り、草刈機をフル回転。
重機はないので、ひたすら人力。
除草剤は使いたくない。
少しづつだけど一年でだいぶすっきりした。

張り切り過ぎて膝が壊れた。
ふと思った。

人の目には荒れ放題と見えるこの場所も、長い年月をかけて自然界のあらゆる生き物が、築き上げた素晴らしい世界があったのかもしれない。
自分のものだと思っているこの場所は、気の遠くなるほど長い年月のほんの少しだけ住まわせてもらっている間借り人に過ぎない。

ここに宿る精霊がいたとしたら、どう思ったろうか?
土地に自分なりのごめんなさいをした。
刈り込んでしまったこの場所に、それでも季節ごとに花が咲き鳥が集う。
長い年月を生きた木を使わせてもらって器を作り、日々手をかけながら使っている。
同じかな。
感謝の気持ちを忘れずに手入れを続けよう。
ほんのいっとき心地よく暮らせるように。

膝も無事回復。

新しいお住まいと工房を構えられて、いっそう暮らしの中で生きて映える木の器づくりが進む菅原博之さん。
庭と取り組む日々の中で、身体を通して紡がれた想いと言葉は深いですね。

慎みの心と作り手としての意欲のバランスがますます磨かれて、菅原さんならではの木の器がこうして生まれてくるのですね。