Editor's voice

稲垣 早苗

連載のご案内

2020.01.16

熊谷茜さんの「kegoya-goyomi」いかがでしたか。
雪国での火のある暮らし。
根源的であって、唯一無二の茜さん一家の暮らし。
四季を通じて、出来れば年月を重ねて、茜さんの生き生きとした時のかけらを、皆様と一緒に読み続けたいと願っています。
ご感想、コメント、茜さんも、私たちも大変励みになりますので、お寄せいただけましたらうれしく思います。
こちらからお願いいたします。
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今後の予定をお知らせします。

熊谷茜さんのあと、
富井貴志さん、
長野麻紀子さん、
にしむらあきこさん、
大野八生さん、
松塚裕子さん、
クロヌマタカトシさんからの文章を隔週でお届けします。

そして、その間の隔週で、稲垣尚友から寄稿してもらうことにしました。
ほぼ月二回、「竹かんむり小話」題して、竹を枕の文章を掲載いたします。

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本人がプロフィールを書くのを億劫がるのでちゃんとしたものがないのですが、
この場でお読みいただく皆様に、どのような背景からこの文章が綴られるのかを少し知っていただくのも必要かと思って、おせっかいながら編集者としてご紹介させていただきます。

どんな会話をしても、その話題はすべて「島」がオチになる。
最近、特にその傾向が進行?しているように感じるのですが、それほどこだわる「島」とは鹿児島県鹿児島郡十島村、奄美大島の北に連なる島々のこと。
住民票を移して4年ほどを暮らした平島(たいらじま)を中心としたトカラ列島のことです。
1970年代前半のトカラでは24時間電力がなく、港も今のように整ってはおらず、艀(ハシケ)を用いての暮らし。
電話もなく、通信環境など、今の暮らしからはちょっと想像するのが難しい生活を送っていたのでした。

とはいえ、島で生まれ育ったのかと言えばそうではなく、目黒で生まれ、途中父親の療養先の房総に暮らすものの、中学からは東京に戻って麹町や六本木に住む都心住まい。
父親と同じ外交官になることを漠然と思いながらICU(国際基督教大学)で国際関係学を専攻していたのでした。

紀元前、紀元後があるとすれば、学生時代に奄美大島に行き、南島に憧れて大学を中退したときでしょうか。
否、そもそも旅をし始めたときに「紀元」があったのかもしれません。
その頃のことは、「青春彷徨」という福音館から出版された本に詳しいので、興味のある方は古本屋さんなどで見つけてみてください。

島通いの頃、宮本常一さんとの出会いがあり、所謂民俗学というフィールドと出会うのですが「文字から一番遠いところにいたい」という気持ちに抗えず、結局一家を構えて平島に移住。
けれど途中から請われて文章を書く機会が増えて、「山羊と芋酎」など書籍を出版することになっていきます。
どっぷりと島の暮らしの中に生きましたが、紆余曲折の末、島を出ることに。
竹細工を生業としようと熊本県での竹細工の修行を経て、茨城県笠間市、そして、現在の千葉県鴨川市に移住したのでした。

「17年目のトカラ平島」は、平島を出て17年ぶりにようやく再訪して書いた本。
そして、気づけば「文字から一番遠いところにいたい」と思っていたのに、民俗学、言語学などなど広範囲の本の虫となって、膨大な書物に囲まれた手造り小屋書斎を構えるようになったのでした。

竹細工の方は、民具だけで生計を立てるのが難しかったのですが、得意な大工の腕を生かして「竹大工」として、家具インテリアを「組み物」で制作するようになり、おりしもバブル時代の追い風もあって全国各地で展覧会を開くなど竹作家として活動。
今から20年ほど前、火事によって、工房と蒐集したたくさんの煤竹を焼失したことが契機となって、あらためて原点の民具となる竹細工を再開しています。

現在は、「平島語辞典」をはじめ、多くの原稿をまとめている最中。
そのような中、竹にまつわる人やその営み、言ってみれば民俗についての原稿を書いてほしい、と私から依頼されてしまったというわけです。
本人、只今奄美大島とトカラへ出張?中。
この編集者による勝手なプロフィールを読んでいるかどうか?
もしかすると今後削除依頼!が来るかもですが、これからの「竹かんむり小話」の背景のほんのひとかけらをお届けしました。

稲垣尚友の著作リストは、こちらにまとめられています。
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Writer

  • 稲垣 早苗
  • 稲垣早苗
  • オウンドメディア「手しごとを結ぶ庭」を企画編集しています。
    「葉」のコンテンツは、「言の葉」の「葉」。
    工藝作家やアーティストの方で、私がぜひ文章を書いてほしいと願った方にご寄稿いただきました。

    わりとはっきりとテーマをお伝えした方、あまり決め込まずに自由にしてほしいとお伝えした方、、、いろいろですが、私なりに「編集」に取り組んでいきたいと思います。

    ひとつひとつの「葉」が茂り、重なっていったとき、どんな樹形が見られるでしょうか。
    今、答えを持っていないことが、ひとしおうれしく感じられます。

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